税理士が安定している3つの根拠|法的保護・需要・将来性を統計データで検証
「税理士は安定した職業か?」この問いに対して、統計データと法的根拠から検証します。結論:税理士は①税理士法による独占業務で法的に保護され、②登録者数は14年間で約12%増加、③中小企業358万社の継続的な需要がある、非常に安定性の高い国家資格です。
結論:税理士が安定している3つの根拠
統計データと法的根拠から見る安定性
税理士の安定性は、以下の3つの客観的な根拠によって支えられています:
【根拠1】税理士法による法的保護
税理士法第2条により、以下の業務は税理士の独占業務として法的に保護されています:
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
税理士以外がこれらを行うと税理士法違反(第52条:2年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります。
※無償でも違法(無償独占)
【根拠2】登録者数の増加傾向
税理士登録者数は長期的に増加傾向にあります:
- 2010年:約72,000人
- 2024年:81,280人
- 14年間で約9,000人以上増加(+約12%以上)
(出典:国税庁「税理士制度」統計、日本税理士会連合会「令和5年度登録事務事績」)
もし税理士という職業が不安定なら、登録者数は減少するはずです。しかし実際には増加し続けています。
【根拠3】継続的な需要
日本には中小企業が約358万社存在し(全企業の99.7%)、これらの企業は税務申告が法的義務です。
(出典:中小企業庁「中小企業白書2023年版」)
また、事業承継問題では約127万社が後継者未定(2023年時点)という状況があり、税理士の専門的支援が求められています。
(出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」2023年)
税理士法による法的保護
独占業務とは何か
税理士の安定性を支える最大の要因が、税理士法による独占業務の保護です。
税理士法第2条(税理士の業務)
税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
- 税務代理(確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会い、税務署への主張・陳述など)
- 税務書類の作成(確定申告書、青色申告承認申請書、その他税務署に提出する書類の作成)
- 税務相談(税務に関する相談に応ずること)
無償独占業務(第52条)
税理士法第52条(税理士業務の制限)
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
罰則:2年以下の懲役または100万円以下の罰金
重要なのは、税理士の独占業務は「無償でも違法」という点です。これを「無償独占」と呼びます。
弁護士や司法書士など他の士業の多くは「有償独占」であり、無償であれば他者が行うことも可能です。しかし税理士業務は、たとえ無償であっても税理士以外は行えません。
法的保護の強さ
税理士法が保護する3つの領域
| 業務 | 具体例 | 保護の強さ |
|---|---|---|
| 税務代理 | 税務調査の立会い、税務署との交渉 | 完全独占(無償独占) |
| 税務書類の作成 | 確定申告書、法人税申告書の作成 | 完全独占(無償独占) |
| 税務相談 | 個別具体的な税務アドバイス | 完全独占(無償独占) |
この法的保護により、税理士業務は構造的に安定性が高いと言えます。
登録者数で見る安定性
14年間で約12%増加
税理士登録者数は、日本税理士会連合会によって毎年公表されています。
| 年度 | 登録者数 | 前回比 |
|---|---|---|
| 2010年3月末 | 約72,000人 | - |
| 2015年3月末 | 約75,600人 | +約3,600人 |
| 2020年3月末 | 約78,800人 | +約3,200人 |
| 2024年3月末 | 81,280人 | +約2,500人 |
(出典:国税庁「税理士制度」統計、日本税理士会連合会「令和5年度登録事務事績」)
※2010-2020年は国税庁公表データから概数、2024年は日本税理士会連合会公表の確定値
増加の背景
登録者数が増加している理由として考えられる要因:
- 税務の複雑化:消費税率の変更、電子帳簿保存法、インボイス制度など
- 中小企業の経営支援需要:単なる税務申告だけでなく、経営助言の需要増加
- 事業承継支援:後継者不足問題への対応
- DX支援:クラウド会計導入支援など新たな業務領域
高齢化による供給減少の可能性
税理士の年齢構成
日本税理士会連合会の統計によると、税理士登録者の平均年齢は50歳代後半です。
今後10-20年で大量引退が予想されるため、供給が減少する可能性があります。
一方で中小企業の税務申告需要は継続するため、需給バランスから見て税理士の価値はむしろ上がる可能性があります。
需要の継続性
中小企業358万社の存在
中小企業の統計データ
中小企業庁「中小企業白書2023年版」によると:
- 日本の企業総数:約359万社
- うち中小企業:約358万社(99.7%)
- 大企業:約1万1千社(0.3%)
(出典:中小企業庁「中小企業白書2023年版」)
これらの企業は、法人税・消費税などの税務申告が法的義務です。
税務申告は法的義務
日本では以下の税務申告が法的に義務付けられています:
- 法人税:すべての法人(年1回)
- 消費税:課税事業者(年1-4回)
- 所得税:個人事業主(年1回)
- 相続税:一定額以上の相続(都度)
つまり、中小企業が存在する限り、税理士の需要は継続します。
事業承継問題
後継者不足の深刻化
中小企業庁の統計によると:
- 2025年までに70歳を超える経営者:約245万人
- うち後継者未定:約127万社
- 企業全体の約1/3が後継者不在
(出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」2023年、日本経済新聞2023年報道)
事業承継には以下の税務アドバイスが不可欠です:
- 自社株評価
- 事業承継税制の活用
- M&Aの税務デューデリジェンス
- 相続税対策
これらは税理士の専門領域であり、今後も継続的な需要が見込まれます。
税務の複雑化
近年、税制は複雑化の一途を辿っています:
- 電子帳簿保存法(2024年1月完全施行)
- インボイス制度(2023年10月開始)
- 国際税務(移転価格税制、CFC税制)
- 暗号資産課税(新たな課税対象)
これらの制度対応には専門知識が必要であり、税理士への相談需要が増加しています。
💼 358万社の中小企業が税務申告を必要としています
継続的な需要がある安定した専門職。今から目指せば、大量引退時代に活躍できます。
大手予備校から通信講座まで一括比較
他士業との比較
士業の安定性比較
税理士を他の士業と比較した場合の特徴を整理します。
| 士業 | 独占業務の特徴 | 継続性 |
|---|---|---|
| 税理士 | 税務代理・書類作成・相談(無償独占) | 年次業務(毎年必須) |
| 弁護士 | 法律事務(有償独占) | 案件ベース |
| 司法書士 | 登記申請代理(有償独占) | 案件ベース |
| 行政書士 | 官公署への書類作成 | 案件ベース |
| 社会保険労務士 | 労働・社会保険手続き(無償独占) | 年次業務+案件 |
※一般的な理解に基づく整理であり、各士業法の詳細は専門家にご確認ください
税理士の特徴
税理士の強み
- 年次業務:決算・申告は毎年必須 → 継続的な顧問契約
- 無償独占:法的保護が強い
- 中小企業の必需品:358万社すべてが対象
- 複数税目:法人税・所得税・消費税・相続税など幅広い
特に「年次業務」という特性が、税理士の安定性を支えています。
弁護士や司法書士は「案件が発生したときに依頼」されますが、税理士は「毎年必ず依頼」されるため、顧問契約という形で継続的な収入を得やすい構造になっています。
顧問契約モデル
税理士の典型的な収入モデル
税理士の多くは「顧問契約」により安定収入を得ています:
- 月額顧問料:毎月固定で発生
- 決算報酬:年1回の決算時に発生
- 申告報酬:各種税務申告時に発生
- スポット業務:相続税申告、組織再編など
この収入モデルにより、収入の見通しが立てやすいという特徴があります。
将来性
供給減少×需要継続=価値上昇
今後10-20年の予測
統計データから推測される将来像:
【供給側】減少の可能性
- 税理士登録者の平均年齢:50歳代後半
- 今後10-20年で大量引退が予想
- 税理士試験の合格者数:年間600-700人程度(令和5年度:647人)
【需要側】継続・増加の可能性
- 中小企業358万社の税務申告需要は継続
- 事業承継問題:127万社が後継者未定
- 税制の複雑化:電子帳簿保存法、インボイス制度
- DX支援需要の増加
需要が継続する一方で供給が減少すれば、需給バランスから税理士の価値は上がると考えられます。
変化する業務内容
重要な注意点
ただし、税理士の業務内容は変化しています:
- 定型業務の効率化:クラウド会計の普及により記帳・仕訳は自動化
- 高付加価値業務へシフト:税務相談、経営助言、事業承継支援
- デジタルリテラシー:AIツールを使いこなす能力が必要
「単純な記帳代行だけ」では厳しい時代になっていますが、専門的な判断・提案ができる税理士の需要は高まっています。
今から目指すメリット
これから税理士を目指す場合のメリット:
- 大量引退時代に活躍:供給減少のタイミングで市場参入
- デジタルネイティブ世代:AI・クラウド活用が得意
- 新しい業務領域:DX支援、暗号資産課税など新領域で差別化
- M&A税務:事業承継需要の増加
よくある質問
Q1: 税理士は本当に安定した職業ですか?
A: 税理士は法的に安定した職業です。根拠は3つ:①税理士法による独占業務(税務代理・書類作成・相談)で法的に保護、②登録者数は14年間で約12%増加(2010年約72,000人→2024年81,280人)、③中小企業358万社の継続的な税務申告需要。これらの統計データと法的根拠から、税理士の安定性は高いと言えます。
Q2: 税理士の独占業務とは何ですか?
A: 税理士法第2条で定められた3つの業務です:①税務代理(納税者の代理として税務署と交渉)、②税務書類の作成(確定申告書などの作成)、③税務相談(税に関する個別具体的な相談)。これらは税理士以外が行うと税理士法違反(第52条:2年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります。無償でも違法です。
Q3: 税理士の需要はなくならないのですか?
A: 統計データから見て、需要がなくなる可能性は低いです。理由:①中小企業358万社(全企業の99.7%)が存在し、税務申告は法的義務、②事業承継問題で約127万社が後継者未定(2023年時点)、③電子帳簿保存法・インボイス制度など税務の複雑化、④税理士登録者の高齢化(平均年齢50代後半)による供給減。これらから需要は継続すると考えられます。
Q4: 他の士業と比べて税理士は安定していますか?
A: 税理士は他士業と比較しても安定性が高い職業です。理由:①独占業務が明確(税理士法第2条)、②顧問契約モデルで継続収入、③中小企業の税務申告は毎年必須、④無償独占(第52条)で法的保護が強い。弁護士や司法書士と異なり、企業の年次業務(決算・申告)という継続的な需要があることが特徴です。
Q5: これから税理士を目指しても安定した収入を得られますか?
A: 統計データを見る限り、可能性は高いです。根拠:①税理士登録者の平均年齢は50代後半で高齢化が進行、②今後大量引退により供給が減少する見込み、③一方で中小企業358万社の需要は継続、④事業承継・DX支援など新たな需要も増加。ただし、定型業務のみに依存せず、高度な判断・提案ができる専門性が重要です。
まとめ
税理士の安定性:統計データが示す3つの根拠
【根拠1】法的保護
- 税理士法第2条による独占業務(税務代理・書類作成・相談)
- 無償独占(第52条)で法的保護が強い
- 違反は2年以下の懲役または100万円以下の罰金
【根拠2】登録者数の増加
- 2010年約72,000人→2024年81,280人(+約12%)
- 不安定な職業なら減少するはずが、実際は増加
- 今後は高齢化により供給減少の可能性
【根拠3】継続的な需要
- 中小企業358万社(全企業の99.7%)の税務申告需要
- 事業承継問題:127万社が後継者未定
- 税制の複雑化:電子帳簿保存法、インボイス制度
重要な変化
ただし、税理士の業務内容は変化しています。単純な記帳代行は効率化される一方、税務相談・経営助言・事業承継支援など「高度な判断を要する業務」の価値が高まっています。
「単純作業だけの税理士」ではなく、「専門的な判断・提案ができる税理士」を目指すことが重要です。
今から目指すメリット
今から税理士を目指す場合:
- 大量引退時代に市場参入できる
- デジタルネイティブとして差別化
- 新しい業務領域(DX支援、暗号資産課税)で活躍
- 供給減少×需要継続で価値が上がる可能性
✨ 法的保護×継続需要×供給減少=安定した専門職
統計データが証明する安定性。今から目指して、10年後の市場で活躍する。
TAC・大原・LEC・スタディング・クレアール等を比較